同じ頃。


 「七重、これはどういうことだ」


 昏睡状態で横たわる当主の治療を続ける医師団。


 その脇で当主の妻である七重が、様子を見守っていた。


 そこに長子の清明が入ってきた。


 「昨日の俺の帰国の宴の際、父上はあんなにお元気だったのに。その後俺が酔っ払って寝ている間に、こんなことに」


 「突然だったのよ」


 「だけど清廉が、父上に毒を? あの清廉が? 信じられないな」


 「外に出ましょう」


 治療を続ける医師団を慮って、七重は清明を連れて部屋の外に出た。


 「別に清廉を庇うわけじゃないけど、どうして父上を殺そうとする必要があるんだ? 家督か? 黙っていれば次期当主は清廉なのに、なぜ……」