本当は談話室を出た後、
もう一度、素振りの続きをしようと思っていたのに…。

凛は、誠から借りている鉄製の刀を部屋に取りに行き、その足で庭に戻ったのだが、

『凛ー、自分で分かってるよね?

…それ以上したらー、肩を壊すでしょ。

無理しても意味ないしー、今日は、もうだーめ!』

そう言って未来に取り上げられてしまった…。

仕方ないので、他の方法で身体を鍛えようと、

床張りの広い道場の中で
筋力トレーニングをしている時…

『リン…………。』

「…………?」

誰かに呼ばれたような気がして、振り返る。

「…………。」

そのまま立ち上がると、何かに引き寄せられるように外に出て、

裏の森の中に向かって
凛は歩いていった…。


あてもなく歩き続けている内に

森の奥にある滝の水音に交じって…


懐かしく、耳慣れていた
『あの歌』が聞こえてきた。


…凛は思わず立ち止まり、微笑む。