…怪我した本人より、
周りにいる人間の方が辛かったりする事だってある。

皆、オレの『怖い』って想いを痛い程、分かってくれていたからこそ、

歌わない事に気付いていても何も言わずにいてくれたんだ…。

「この土地はね、
昔、天から神が降りられたと言う伝承が残っているんだけど、

実際、清浄な大気が結界以上の役割を果たしてくれている。

良くない物は入ってこれないし、逆に日向が見つかる事も絶対に無い。

人の身体を利用して、ここまで来たとしても、

その体内の奥に隠れ、清き大気から身を守って、じっ…と震える事しか出来ない…。

…だから、安心して…。」

勇気づけるように、
さらに手をギュッ…と握られる。

「朝顔は日向の練習相手に、と思ってね。

植物は、話しかけられたり、歌ってもらったりするのが好きなんだ。

キミの歌を毎日聞かせてあげて、綺麗な花を咲かせてあげる手伝いをして欲しい。」

確かに、植物園なんかで木や花の為にクラシック流している…なんて話、聞いた事あった。