彼方は、
カッ!っと頭に血がのぼるのを感じた。

「お前は…!

仕方ないなら
誰にでも!!!
こんな仕打ちをされても良いというのかっ!!」

彼方の脳裏に、
『忌まわしい思い出』が
蘇る……。

幼くして、
両親を亡くした彼は、
施設に預けられた。

その施設の管理を任されていた男は、

来る日も来る日も
彼方や他の子供達を自分の部屋に呼び出し……

そして………。

汚ならしい獣めっ……!!

他に行く所のない子供達を、
自分の欲望のまま貪る……

醜い豚………!!!

「ぐ…………。」

「彼方っ??」

吐き気を覚え、
香澄の身体から下り、
横の地面に伏せる。


吐くまいとして震える彼方の背中を

慌てて起き上がった香澄が撫でる。

「や…めろ…!
触るな!!!」