その風に乗って、甘い香りが鼻をくすぶった。




この匂い、なんだろう??すごく落ち着く。




フワフワとする意識は徐々に、暗闇に落ちていく。うつろうつろしていた瞼は完全に目を覆った。




「……おい??どうした??」




何度か青年は由乃に声をかけたが、スースーと寝息しか返ってこない。





「ほんと、警戒心無さすぎだろ」





呆れるように呟くと、どう彼女のことを報告しようかと考え始めた。





「……こいつが夢巫女だったとすれば、協会もVWAも黙ってないよな」





青年のボソリと呟かれた言葉も、もう一度ついたため息も、夢の中にいる由乃には知る由もなかった。