美雨は男達に聞こえないくらいの小さな声で言った。
その声からは、恐怖と安堵の入り交じった感情が垣間見えていた。
「おい。俺らはその子に用があるんだ。関係ねぇやつは引っ込んでな。」
男の中の一人がそう言って再び美雨に手を伸ばす。
美雨を男達の手が届かないように僕の後ろに下がらせて僕は男達と見た。
「君たちこそ他人の彼女に手ぇ出すとかいい根性してるね。まぁ、今回はその根性に免じて許してあげるけど…今度美雨に手ぇ出したら容赦しねぇぞ」
男達にむけて、そう言い放ち僕は美雨に笑いかけた。
「ほら、電車来ちゃうから行こうか」
美雨の手を取り電車に乗り込んで僕はため息をついた。
「はぁ…」
「ごめんね…いつも」
「ほんとにヒヤヒヤするよ…いつも僕が和真にどやされるんだよ…」
「ごめんねほんとに」