「――――蒼翔」
いきなり耳元で颯がいつもと違う声で僕の名前を呼ぶものだから肩が震えた。
「お前この声に弱いんだな」
「用がないなら話しかけないで」
僕は照れ隠しで言い放った。
「お前朝どこに行ってたんだ?」
「………………………………」
名前を呼ばれたい訳でもないが、お前呼びは嫌だ。
「蒼翔」
「なに?」
「お前さぁ…」
「…………」
「蒼翔。朝はいつもどこに行ってるんだ?」
「Dの南わかるか?」
「あぁ。」
「あれの家庭教師」
「へぇ…ってかお前はガキか?蒼翔」
「ガキじゃない!」
「だって名前呼ばねぇと反応しねぇじゃん」
「不特定名詞使われるの嫌いだから」
「じゃあこれから蒼翔って呼ぶ。いいな?」
「好きにしろ」
そういいながらも、内心少し嬉しかったんだ。