「いっつも悪いな!蒼翔!!!」
僕が自習室のドアを開けると悪びれもなく言い放つ奴がいた。
「名前を呼び捨てにするな。」
「いーじゃんか、そんな小さいことはさ!」
「僕にとっては君の成績の方が小さいことだから」
僕はそう言って自習室を出ようとした。
「待てよ!蒼翔!!!」
僕を自習室に呼びつけた奴――南悠人は僕の腕を思い切り引っ張った。
「――――――っ!!!」
多分悠人は男を引っ張るのと同じ力加減で僕を引っ張ったのだろう。
男のフリをしている僕は、体重も男より断然軽いため、悠人の胸にダイブすることになってしまう。
「うわっ!お前軽すぎ!!!……女みてぇ…」
(――――――コイツ…意外に鋭い!?)
一気に警戒心の塊と化した僕を悠人は訝しげに見下ろした。
「どーしたんだよ?」
「………………………………」
黙り込み俯く僕の顔を悠人は覗き込む。