1回走った広瀬くんが戻ってきた。


「1番でバトン繋ぐとか、
 お疲れ様です。」


「あ、椎名見てくれてたんだー。」


「見てたよ。
 だから、ケガしてるのに無理して
 走らないほうがいいよ?」


「あ、椎名気づいてたんだ。
 ちょっと、昨日の部活で
 やっちゃったみたいだけれど、
 大丈夫だよ。」


「ほんと?
 悪化しないようにしてよね?」


「ご心配お掛けしてすみません(笑)
 でも、他の人よりケガしている俺が 走るほうが速いから(笑)」


「なーに、調子にノッてるのよ?
 まぁ、広瀬くんならそうかもね。」


「まぁな。
 てか、見てよ。今の状況。
 ビリだよ?」


「あら、どうするの?
 広瀬くんまで速い人いないよ?」


「じゃあ、俺が2人、椎名も2人、
 抜かそうな。」


「じゃあ、抜かせたらご褒美頂戴!」


「しょうがないな。
 考えといてやるよ。」


「うん!絶対だよ。」


「その代わり、俺が抜かしたら
俺の言うこと聞けよ?」


「え、やだ(笑)
ほら、もうすぐ広瀬くんの番だよ」


「おう!絶対に言うこと聞けよ?」




そう言って広瀬くんは、バトンをもらうとまた、ケガをものともせず、1人
2人とあっという間に抜かした。

3人目をとらえて並びながら
コーナーに入って戻ってきた。


「椎名、ぜってー抜かせよ。」


「了解!ありがとね!」


そう言って、広瀬くんがバトンを
渡した後、私に軽くハイタッチしていった。


私は、並んでいた人を引き離して、
もう1人の背中を目指して全力で
走り出した。

そして、無我夢中で走り次の走者が、
見えた頃に1人抜かした。


そして、そのままバトンを彩夏に
渡した。