自分のクラスに入ろうとしたら、
椎名の泣き声が聞こえた。

さっき決意したばかりなのに、

「どうした?」

なんて、声かけてるの。
自分で呆れるわ。

しかも、女の慰めかたとか
分かんねーから、とりあえずタオルを濡らそうと廊下に出た。

そしたら、三島がいた。

「おい、椎名が泣いてるんだけど」


「やっぱり?さっき、桃と話して
 から教室に走っていったからね。

 私は、今泣き止むまでここにいる
 つもりよ?

 広瀬くんは?広瀬くんが平気なら
 結依を慰めてくれない?」


「時間は平気だけど、俺女の子の
慰めかたなんて分かんねー。」


「結依が泣き止むまで隣にいて
あげて。

それだけで広瀬くんなら十分よ。」


「それって俺が不器用って
言いたいのか?」


「逆よ。あなたはそれだけで全てを
まかなえるっこと。

つまり、誉めてるの。」


「よく分かんないな。

お前、椎名泣き止むまで
帰らないつもりか?」


「そうだけど、広瀬くんは?」


「俺もそのつもり。

椎名は家まで送るから、
三島は明るいうちに帰るか、
山本に送らせる。」


「ご丁寧にどうも。
私は1人で大丈夫よ。
結依のことよろしくね。」


「やっぱりダメだ。
山本に送らせる。」


「わざわざありがとう。
私、そんなか弱くないのよ?」


「女なんだからね?」


「1人で帰るよりは嬉しいから
お言葉に甘えさせてもらいます。」


「おう!
じゃーな。」