「遅れてごめん…」


結依は不安そうな顔をしている。

それは、遅れたことに対しての反省と
これからの話の内容の2つからなのか…?

「大丈夫。俺が呼び出したんだし。」

優しく微笑むと、結依も安心した表情になった。


「俺の話、聞いてくれる?」


「うん…」


「俺ね、結依が俺のこと好きって
言った時、すんごく嬉しかった。

だって俺も結依のことが
好きだから。


でもね、結依も知ってると思う
けど、
俺、彼女いるの。


その相手とは、ちょっと
いろいろあって
付き合うことになったけど、
正直お互い好きじゃないんだよね?


こんな、俺だよ?それでも好き?」


「うん…好きだよ…」


結依は涙目だった。


「ありがとう。

それでね、その相手なんだけど、


………伊藤なんだよね…」


「えっ…?

ど…う…して……?」


本人は気づいてないと思うけど、
結依は泣いていた。


「たしか、5月の前半かな?

伊藤に告られたんだよね?
それで、正直その時はもう
椎名のことが
好きだったんだよ…。

でもね、言い訳にしか聞こえないと
思うけど、告白を受けようか
断ろうか
迷っていたんだよね。


結依は、すごくモテるし
純粋だから、
俺なんかじゃ釣り合わないって
思ったの。


で、自信なくして自分が良く
分からなくなった時に、
伊藤からLINEが
来て軽い気持ちでOKしたん
だよね…」


「そうだったんだ…」


結依はボロボロと大泣きしていた。


「伊藤に、何回か別れ話したことが
あるんだよね?でも、その度に
伊藤が大泣きして水川が怒鳴り
こんで来てなかなか
別れられないの。


だから、結依の気持ちが
変わらなければ
なんだけど、事が片付いたら
俺ら…付き合えないかな……?」


結依を抱き締めて
俺の思っていることを伝えたつもり。


「うん…ありがとう…
私…待ってるね……」


「ありがとう。結依。


あっ、でも、結依が俺より好きな人
見つけたら遠慮せずにその男に
幸せにしてもらえ?」


「だめ。私、広瀬くんじゃないと
嫌だ。


広瀬くんは、自分のことを最低な
人間みたいなこと言ってるけど、
私も変わらないよ。
私も友達の彼氏に告白しちゃった
んだもん…

私のほうが最低だよね…」


「そんなこと言うな。
結依が悪いわけじゃない。

今日は、話聞いてくれて
ありがとう。」