気づいたら放課後になっていた。
教室にいるのは私と広瀬くんだけ
だった。
「椎名、お前好きな人いるの?」
「えっ、ひろ…」
「えっ?」
「ううん。なんでもない。
ごめん。忘れて?」
最悪…言うならしっかり伝えたかったのに…広瀬くんにバレちゃったよね?
「お願い…教えて?」
もうどうにでもなれ。
「私の好きな人は広瀬くんだよ。」
「ごめん…俺、彼女いる。」
「知ってたよ?広瀬くんに彼女が
いること。だからいいの!
これからも今みたいに仲のいい
友達でいて?」
「ちょっと待って、椎名!」
はっきり断られるのがフラれて友達でもいられないって言われるのが怖くて
逃げ出そうとしたら広瀬くんに手を捕まれた。
「お願い…離して。
広瀬くん…」
「ごめん…」
広瀬くんの手が離れていく。
自分から離してって言ったくせして離れていく手を寂しく思う。
でも、それも広瀬くんの気づかいだよね。
さすがに泣かれたら広瀬くんも困るだろうし。