傘を持ってないのか髪の毛も制服も濡れている。

日陰にありながら瞳は硝子玉のように澄んでいて見る人を惹き付ける雰囲気があった。

「さぁ?自分が名乗るのが先って昔から言われてるし。」

それはそうだけど。

何時代の人間ですか。

「私は柊あ…。柊よ。」

下の名前なんて言ったら馬鹿にされそう。

「下。下の名前。」

あんな偉そうなことばっか言ってんのに臆病だな私。

「関係ないでしょ。それよりあんたの名…」

どうして隣座ってるの!

「さぁ?それより学校サボって大丈夫?」

お前に心配される筋合いなんて無い。

むしろお前の方こそ色々大丈夫かと心配になるレベル。

特に頭とか…。

「ご心配なく。それより離れてください。」

「ここ、俺の場所だから。」

「は?」

まさかコイツもサボり魔!

「毎日ここに来てから学校に行ってる。悪いかよ。」

いや、悪いなんて言ってないし。一言余計だし。

「相当お暇なようで。」

言い終わった瞬間、頭に激痛が走った。

「いたっ!」

チョップされた。チョップだったけどまるで隕石が降り注いだようだ。

「柊と同類にすんな。お前顔も最悪だけど性格も最悪だな。」