おばあちゃんと別れてから1時間。

まだ降り止まない雨を避けることは意味が無い。

きっと午前中はずっと雨。

携帯で天気予報を確認すると予想は的中。

重い腰を上げて階段を降りようとした瞬間。

制服のポケットで携帯のバイブ音がした。

ディスプレイには西原成海の表示。

「何?」

『………。』

返事は無いもののすすり泣く音が聞こえる。

「どうせ彼氏が浮気したでしょ。」

『そうだよ…もう立ち直れないよ…。』

このやりとり何度目だろう。

「あっそ。じゃあ別れたら。」

『そうなんだけど…』

あぁ、面倒くさい。

「あんた毎回彼氏の浮気で電話してくるけど別れる気が無いなら電話してこないでくれる?私はあんたを慰める便利屋じゃないの。」

『ごっ、ごめんっ…。』

せっかくの楽しい時間も最悪の時間に早変わり。

「あと最後に1つ。私は自分の時間が潰れるの彼氏に浮気されるよりかなりムカつくから。」

ディスプレイの切るボタンを押した。

『ごめ…』

んね。都合のいい言葉ばっかり使いやがって…。

「あーあ。相手の子可哀想。」

同じ高校の制服。けれど知らない男子。

「あなた誰。」