「仕方ないと言えばそれまでだけどさ・・・
今回私たちと仲良くなったことだし?その子たちとも仲良くなれたらって思うの」

「…和泉さん?」

首を傾げる私に、泉さんは優しい笑みを見せた。

「私と鈴木さんって、色んな部署と企画の事で話をするの。
そのせいか、友達も多くてね、一気に全部は無理かもしれないけど、少しずつ。
皆と仲良くなれるよう協力しようと思って、ね、鈴木さん」

「そうそう、女の苛めはネチネチしてて私嫌いなのよね。
これを期に、少しずつ、私たちが変えていくから、矢沢さんもあと少し、辛抱してね」

そう言って私の肩を叩いてくれた鈴木さん。
なんていい人たちなのかと、嬉しすぎて、泣きそうになる。


「あ~あ~、また泣きそうよ、この子。大久保さんの時は泣くの我慢してたんでしょうけど、
こんなに泣き虫だとは思わなかったわ」

そう言って泉さんは笑った。

「うれし泣きなんでしょうからいいんじゃない」
そう言ってくれたのは鈴木さん。


「矢沢さんの事、あんまり泣かせないでくださいよ?オレ、本気で怒りますから」
そう言っているのは、坂下君。


「エ?まさか、矢沢さんの事?」
そう言って顔を見合わせた泉さんと鈴木さん。


「いや、オレは、別に、そんなんじゃ・・・」
そう言って顔を赤くしてそっぽを向いてしまった坂下君。

・・・修の言葉は当たってるの?

「ダメよ~ダメダメ!矢沢さんには彼氏がいるんだからね~鈴木さん」
そう言って援護射撃した泉さん。

「…だ、だから違いますって」
一瞬目を見開いた坂下君だったが、そう言ってビールをグイッと飲み干した。


「ほらほら、もっと飲め飲め!」
ビール瓶を持つと、鈴木さんは、坂下君のコップに注いでいた。