そのせいか、大久保さんのトゲトゲしい感じが薄れて行く。

「…ずっと思ってたんだよね、大久保さん、矢沢さんイジメ過ぎだなって」

そう言って、苦笑いした泉さん。
その横にいた鈴木さんも、同調する。

「そうそう、仲良くしたいのに、上司があれじゃ、近寄りも出来ないし。…でも、大谷さんのおかげで、矢沢さんに近づけたのよ」

「…え?」

泉さんの言葉に、キョトンとする。
すると、泉さんと鈴木さんは顔を見合わせて、フフッと笑った。

「大谷さんて、素敵な人よね〜。

矢沢は、真面目でいい奴だから、ちゃんと見て欲しいって、言うのよ。それはもう真剣な顔して…。

そんなこと言われなくても、矢沢さんの仕事ぶりには感心してたし、大久保さんからのイジメにも、耐えてる所が凄いなって思ってたの。

だから、私と鈴木さんが貴女と仲良くなったら、みんなも変わると思って」

…修、そんな事してくれてたんだ。
私の為に…。嬉しさで、涙が溢れる。

「いい彼氏ね、大谷さん」
「…へ⁈」

変な声を出す。