でも、こんな所で泣くわけにはいかない。

私は歯を食いしばった。…泣いてたまるか。


「…女はいいよな、泣いてれば周りは甘く見てくれる」

「・・・ッ」


「言われて悔しいと思うなら、それなりの仕事をしろ」

そう言ったかと思うと、書類の束をドサドサッとデスクの上に置かれた。

…ここは第2企画部のオフィス…味方は誰一人いない。


ポタポタと流れる涙をサッと拭って、私は仕事に取り掛かった。

泣いていたって、仕事は捗らない。

…この企画、何が何でも、成功させたい。

今はその想いしかなかった。

お昼ご飯もとらず、私はただひたすらに仕事に励んだ。


…気が付けば、第2企画部の人たちは誰一人いなくなって…いなかった。

「何時までとろとろ仕事してる?さっさと仕事を終わらせろ」

溜息をつきながら、呆れてそう言い捨てたのは、大久保さんだった。


「もう少ししたら、終わりますから、大久保さんは先に帰ってください」

「…あのな、お前はいわば部外者なんだよ。そんな奴をここに独りおいて

帰れるわけないだろ?・・・何されるかわかったもんじゃない」


…どこまで信用されてないのか。

どんなに一生懸命仕事をこなしても、この人に認められる事も、

信用されるなんて事も、ずっとないのかもしれない。