「矢沢の話しは、何一つ聞いてないんだろうな、バカ男」
「・・・な」

俺を見て、澤田は大きな溜息をつく。

「どんなに攻めても、絶対オレの事なんて眼中にないのにな、矢沢は」
「・・・・」

「・・朝帰りしたあの日。何でそんな事になったのか、理由は知らないんだろ?」
「・・・」

「仕事でトラブッタ連絡が資料室にいる時に、オレの携帯にかかってきて、俺達の担当の仕事だったから、朝まで二人で駆け回ってたのによ」

「…ウソ、だろ」

「オフィスにも、内線は入れてたんだよ。杉下に、大谷にも伝えるように言ってあったのに、連絡がいってなかったみたいだな」

「・・・・」
…あの日、自分の方も、仕事でオフィスにはいなかった。…出ていくときに、杉下が俺を止めたのに、止まる事もしなかった。

「好きだから疑う気持ちはわかるけど。…好きだから信用するべきじゃなかったのか?」
「・・・」


「このままだと、あいつ、会社も辞めかねないぞ?」
「…矢沢は?」

「実家で、しばらく考えるって・・・とりあえず、有給使えるだけ使えって言ってある。
バカ男、大事な女の事くらい、ちゃんと捕まえとけ」

「…澤田」
「会社辞めれるくらい、お前の事しか見てないんだから」

そう言った澤田は俺の肩を強く叩いた。

・・・その日、オレははなん位置で仕事を止めた。
そそて、真っ直ぐに藍子の所に向かった。


…どんなに謝っても、藍子はもう、許してはくれないだろうか?
…それでも、俺は君に会いに行く。