「……なんで私が後悔なんか……?」
「気になるなら自分で考えなよ。絶対、辻野には分かんないと思うけど」
「……利斗ちゃん、なんか言葉に棘含ませすぎじゃない!?」
「死ねキモイ」
そう言った阿久津に、軽く頭を叩かれた。
それを交わそうとちょっと屈んだのに、見透かしたようにしっかり私の頭に彼の平手が飛んできたものだから、悔しい。
確かに私は反射神経も運動神経も良い方じゃないけど。
大して痛みの残っていない頭部を押さえつけながら、早歩きで帰路を急ぐ阿久津にしつこく付きまとった。
徒歩数分の距離にある彼の家までの道のりを、ずっと何度も同じ問いを繰り返したけれど、結局その答えをもらうことはできない。
「じゃ」
「えーっ!?」
あっさりと自分の家へ引っ込んでしまおうとする阿久津の服の端を、慌てて掴んだ。
逃がすもんか。
ていうか中に入れてくれる気はないのね。
お茶くらい出してくれてもいいんじゃ……?
せっかく久しぶりに会ったんだから、語らうべき話の種はお互い、十分すぎるほど溜まっていると思うのだけれども。