「――っひ、酷い! え!? 酷くない!? デコピンならまだしもおでこにビンタって何事!?」
「つい。なんか辻野と話すの面倒くさくなった」
「それすごい悪口……!」
「……ここまでミラクルでハイパーでスーパーでデラックスに鈍感な人、これ以上好きになりたくないんだけど」
すごいうんざりした顔で言われた。なんだか、その至極嫌そうな表情も、物凄く久々に見たような気がする。
これでこそ阿久津だ。私を蔑むように見るその目が、我ながら引くけどちょっと嬉しい。
ていうかミラクルでハイパーでスーパーでデラックスに鈍感ってすごい言われよう。
阿久津こそ、ミラクルでハイパーでスーパーでデラックスに捻くれていると思うのに。
「もー、ビューティフォーでワンダフォーに鈍感って言ってよねー」
「……鈍感は認めるんだ。……あと、気にしてほしいのそこじゃないんだけど」
「え? ……ああ、前半のインパクトすごくて忘れてたよ。私も嫌いじゃないよ、阿久津のこと」
すっかりいつもの調子に戻れた気がする。嬉しい。