「仲直りしてあげる」
えへっと笑って、足元の石を軽く蹴る。
砂の上を簡単に転がっていくそれは、すぐに芝に紛れて姿を見えなくした。
「でももう絶対しないでね」
「……それ、こっちのセリフだけどね」
「何ですかそれ」
「次、何にも意識しないで家にきたら、どうなるかわかんないってこと」
「……わ、わかってるよ! 絶対、阿久津が熱出してて正気じゃないようなときには行かないから……!」
さすがの私だって学習能力くらいありますし。
めっちゃくちゃ馬鹿にされてる。悔しい……!
というか、仮にも男子と改まってこういう話をするのはとてつもなく恥ずかしい気がする。
顔がかーっと熱くなって、自分の免疫のなさが露呈されてしまった。
だけど、阿久津は特に気にする素振りもなく、
「そういうことじゃないんだけど」
と不服そうな声が呟かれる。
え、と首を傾げて再び彼の方へ顔を向ければ、途端にすごい勢いでおでこを押された。
あれ、何これ痛い。なんで私おでこ叩かれたの。