……それなのに、あんな風によくわかんないまま済ませてしまって、うまく気持ちの整理がついてなくて。



阿久津がわからない。



私はずっと、ずっとドキドキしたまま夜だって眠れないし、他に考え事ができないし、目を瞑ったら真っ先に思いつくのは阿久津のことなのに。


それなのに、当の本人はまるで何事もなかったかのように平気そうだし。普段通りだし。


だからといって、熱のせいで記憶がないわけじゃないらしいし。



阿久津はキスってなんだと思ってるんだろう。


挨拶のつもりでしたのならば、私が言いたいことはひとつだけだ。




「欧米か……っ!」


「は?」


「……いや、なんでもなくって」




もう。調子でない。


こんなんじゃいつまでも話が進まない。終わらない。



ていうか、私はどうしたいんだろう。阿久津に謝ってもらいたいのだろうか。自分でもよく分からないや。