いや本当にいつも通り。


阿久津がそんな調子だから、変に気張っていた私は拍子抜けしてしまう。


おかげで、こちらもなんとか平静を保っていられそうなんだけど。



――今日こそは、きちんと話をしたいから。



ごくりと唾を飲んで、本題に入るため阿久津をじっと見詰めた。


ところが、ふとその目をそらされてしまい、少なからず私の中で動揺が走る。



のも一瞬で、阿久津はすぐ近くのベンチに腰をかけたから、何か特別な意味があって目をそらされたわけじゃないのだと勝手に解釈して心を落ちつかせた。


その隣に少しだけ距離を空けて座り、少しの間を空けてから、声を絞り出す。




「……あのさ、……阿久津」


「うん?」


「私たち口付けを交わしたよね?」


「気持ち悪い言い方しないでくんない」




認めないつもりか!?


そうはさせないぞ、と一向にこちらに顔を向けない青年を睨みつけた。



逃げてるだけじゃ解決に繋がらない。押せ私。