「……寒」




――店を出たあとすぐに、決意が揺らがないうちにと、ラインで阿久津を彼の家近くの公園に呼びだした。


今日から4月が始まったというのに、まだ外は暖かくなる気配がなく、寒がりの阿久津は眉を顰める。




「ひ、久しぶり。あの、……いきなり呼び出して、……ごめんね?」


「……辻野の体温が70℃くらいあれば俺辻野のことずっとポッケに入れとくのに」


「それ私じゃなきゃ駄目かな!? カイロじゃ駄目かな!?」




――1週間ぶりに会う阿久津は、――やっぱり阿久津でしたとさ。




完。




「――終わってたまるかああああああ!」


「どうしたの。情緒不安定なの? ウザ」




体温70℃とか私死んでるじゃん。ポッケインとか私ぎゅぎゅっと圧縮されなきゃ駄目じゃん。死ぬじゃん。



寒さのためなのか、いきなり呼び出されたせいか、阿久津はいつにも増して不機嫌そうだ。