阿久津の言ったそれが、重みある矢のようにズドッと私の心臓に刺さった感じがした。


だからって痛いわけじゃない。苦しいわけじゃない。



不思議なくらい穏やかな衝撃がじわりと体に広がっていって、私の脳は思考することを拒否したかのように真っ白に染まる。



遠くの方で名も知らぬ鳥が鳴いているのが聞こえて、ふと春の訪れを実感した。


ああそうか。今日から4月なのか。鳥も鳴くのか。……そっか。




「――っそ、」


「……そ?」


「そういう考え方も、あったのか……」


「は?」


「お、思いつかなかった……!」




ふと顔を上げれば、相変わらず顔を顰めたままの阿久津と目が合った。



……あれ。


ただそれだけなのに、目が合うことなんて友達やってればそりゃしょっちゅうあったのに、今に限って顔が熱くなっていく。



カーって音を立てて、湯気でも上がるんじゃないかってほど、耳まで火照った。



そうか、と納得する気持ちと、まさか、とそれを否定する感情がないまぜになって、ぐわっと得体の知れぬ羞恥がこみ上げてくる。