「うん」 あたしはその紙を両手で受け取る。 「家に着いたらすぐに手紙書くから」 「おう」 「…」 その後は、何を言えばいいか分からなくて…。 「幸!行くわよ〜」 お母さんの声がした。 「あ、うん!」 返事をして晴斗に向き直る。 「また、ね」 「おう。また」 晴斗に背を向けてお父さんとお母さんの方に歩き出す。 「わっ!」 すると、不意に後ろから晴斗に腕を掴まれた。 危うく転びそうになる。