「ただ、あそこから海を眺めてただけだよ……」 「そ、だったんだ……ごめん」 急に晴斗がしおらしくなっちゃうもんだから、あたしまでしおらしくなっちゃった。 「とにかく、風邪引く前に上がるぞ」 そう言うと晴人は一人で岸の方へ行ってしまった。 乙女を置いて行くなんて酷い! けど、今そんなこと言える空気じゃないのは重々承知。 あたしも晴人の背中を見つめながら、岸の方へ向かった。