「幸!開けて!」 俺は扉に向かって叫んだ。 「一人で泣くな!俺が支えてやるから!全部受け止めてやるから!」 泣き声は大きくなるだけで、扉は開かれない。 こうなったら! 俺はダダダダっと階段を駆け下りた。 庭に、木があったはずだ! その木を登って、そこから幸の部屋に入る! 出来るかなんて分かんねぇけど、やってやる! ビックリする里美さんの横をすり抜け、俺は靴も履かずに外へ飛び出した。