「お父さんの事、聞いたよ。俺、その事知らなくて、手紙送るしかしなくて、会いに行こうともしないで、ごめん。幸が辛い時、そばにいてやれなくて、ごめん」


これでいいんだ。


返事はなくても、幸が聞いていてくれるなら、それでいい。


俺はドアに向かって話し続けた。


「入学式で幸の名前が呼ばれた時、ホント、ビックリした。すぐに話し掛けようとしたんだけど俺出席番号一番だから日直でさ。先生に呼ばれちゃって。そしたらもう幸がいなかったから、話し掛けられなくて。それから幸、ずっと休みだし。だから俺、日誌にまいにち幸の名前書いてるんだぜ?」