「もちろんです」


俺は深く頷いた。


「幸?晴斗君が来てくれたわよ」


二階の一室に案内された俺の心臓は、ありえないくらい早く動いていた。


壁一枚挟んだ向こう側に幸が。


そう思うと、幸への愛しさが募るばかりだった。


「私、下にいるわね」


気を使ってくれたのか、里美さんは先に下へ降りていった。


「幸…?」


俺はそっと声をかける。


「俺だよ。青山晴斗だよ。覚えてる?」


返事はない。