「…口は…聞けるんだよな…」

もう一度首を縦にふる

その人は私の前に手を翳して左右にふった

「目は…見えるの…」

縦にふっても横にふっても嘘になる

私の目は見えるけど見えない

暫く黙り込んでいるとその人が静かに口を開いた

「…言いたくなかったら言わなくていいよ。」

でもその人の声はどこか寂しげに聞こえた

「……見えるけど…見えない」

たった一つ私の口からでた言葉。