「理想はデートの帰り。まだ離れたくないって感じだな」
この間見てたドラマで、そういうシーンがあったんだよね。見てて良かったあ。
「ほら、次、茗だよ。って、茗も俺と同じでキスはないか…。今まで彼女いなかったもんな」
これで幕引きと思った瞬間、思いもよらぬ言葉が聞こえた。
「キスは、……ある」
「えっ?」
思わず茗に目をやると、顔を隠すかの様にほんの少し顔を下げた。
「やるじゃん、場所はどこよ!?」
「……家」
何それ!家って、私が出掛けてた時?
だけど、私が知る限り茗に彼女はいなかったはず。
「で、その時の心は?」
「お前じゃなきゃダメだ…」
口重たげに話し終えた茗は、ぐしゃぐしゃと、頭を掻き、一つ大きな息を吐いた。