「…あり得ねえし」

「おい、理玖。逃げる気じゃないだろうな」


立ち上がろうとした途端、理玖の服をムンズッと掴んだ恭平が、おもむろに何やら耳打ちした。


「こんのバカッ!」

「お前が逃げようとするからだろ。ほら、早くしねえとバラしちまうぞ。ア・ノ・コ・ト」



あの事って何だろ??

恭平に促され、しぶしぶ座り直した理玖は、ぶっきらぼうに答えた。



「好きタイプは、一緒にいて居心地良い奴」

「告白の言葉もあるっしょ、ほら」

「……」

「ほらほら」


ジーッと見つめていると、ふいと目をそらした理玖は、くぐもった声で呟いた。


「もう…、お前しか見えない……」


そして、あまりの恥ずかしさからか、そう言うと同時に、理玖もまた顔を手で覆い隠した。




このゲーム、ある意味怖いかも――。

胸キュンっといきたいところだが、目の前の二人の姿が、どうもそうさせてくれない。