「理玖、あの店見てみろよ。コロッケが学生半額だって。買って行こうぜ」
「もうすぐ寮に着くぞ?」
「良いから、良いから。ほら、早く。信号赤になるって」
と、信号を渡りかけた瞬間、理玖が私の手を掴んだ。
「バカ。自転車来てるだろ」
「悪い。気づかなくて」
変なの…。胸が、ドキドキしてる。
「行くぞ、ほら」
「ああ…」
こじんまりとした揚げ物屋を覗くと、愛想の良さそうな叔母さん、唐揚げをあげながらヒョッコリと頭をあげた。
「いらっしゃい」
「こんにちわ。コロッケ、半額ってなってるの見たんですけど」
「彩架学園の学生さんかい?」
「はい」