「そう。兄貴の奴、好みの女見つけては、次々、口説くんだよ。一体何人女いんのか、ったく」

「……」


マジで?危なあ。

今度同じ事あったりしたら、ぶん殴ってでも逃げよう。



「けど、さすがに男にまで手ぇ出そうとしてたのは始めて見たな」

「あははっ…。俺って、女顔だもんな。で、兄貴は、何年? 」

「三年。あれでも一応生徒会の副会長」


嘘でしょ!あんな男が!?


「性格はかなり歪んでるけど、成績は常にトップだしな」

「へえ… 」


歪んでると言う言葉には、あえて触れなかった。

あんな男って言うのも何だけど、頭の良し悪しは別として、ほかに選ぶ人いなかったのかしら。


軽く首をすくめた時、不意に信号の向こうに揚げ物屋が見えた。