「悪かったな。兄貴が、こう――……」
やっぱり兄弟だったんだ。
見た目は別として、性格はまるで違うな。
「良いって、全然。ありがとな!それより、金は?」
「貰って来た。茗が、後からちゃんと返せよ、ってさ」
吹き出す様に笑った理玖に、なぜだか胸がドキッとした。
「さて、行くか。あんまり遅くなると、恭平の奴が煩いからな」
「あはは。それ、茗も同じ。よーし、行こう!おっ先ー!!」
数時間前は、私達、まだ、知り合いでも何でもなかったんだよね。
そう思うと、こうやって笑い合ってるのが何だかとっても不思議――。
そんな事を思いながら、私は理玖の前を走りはじめた。