「はいはい、分かりましたよ。その前に、一つだけ教えといてやるよ」
「しつこいな、行けって言ってるだろ」
「まあ聞けって。目の前のモノが何であろうと、良いと思ったモノは逃がすなよ。後で後悔したくなかったらな」
「煩いな。行けよ」
「いつまでたっても可愛い奴――。それじゃあ、また話そうね。''美夜ちゃん''」
「さ、さよなら……。また」
理玖の手前、正直なことは言えないが、もう、二度と会いたくない。
もしかして、本気であのままキスでもするつもりだったとか?
……ないないない!!
それに、こんな所でファーストキスを取られるなんて考えるだけでもあり得ないから。
すると、強張った私の頭を理玖が軽く撫でてくれた。