「おーい、聞いてる?」
「あっ。名前、名前ですよね!両親が…、どうしても、女の子欲しかったらしくて」
「へえ」
「困っちゃいますよね。まったく。あはは」
ヤバイ。声、裏返っちゃったかも。
「それにしても、可愛い顔してるね」
「お、女顔だって、よく言われます…」
ジワリジワリとにじりよって来た男子は、マジマジと私を見つめ、クイッと顎を持ち上げた。
このままじゃあ、キスされちゃう!
目を瞑った途端、ほんの少し首元に指先が触れた。
何なのよ、コイツ、やだっ――!!
「おい、兄貴」
「理玖じゃねぇか」
瞬間、パッと離れた私は、身を隠す様に理玖の後ろに回った。
!?……聞き間違い?今、「兄貴」って言ったような。