頭を巡らせていると、おもむろに理玖が口を開いた。
「ヤバ、俺…」
「どうした?」
「財布、忘れたみたいだわ」
「貸しといてやるよ……って、俺も持って来るの忘れてるしっ!」
「取ってくるから待ってろよ」
「えっ、俺も行くよ!」
「いいから。ついでにあの二人からも金貰って来るから。お前の分は茗に借りとく」
そう言うや否や、理玖は早くも今来たばかりのローカを駆け戻って行った。
瞬間、緊張の糸がほぐれ、一つ小さな溜め息を吐いた私は、トンッと壁にもたれ掛かった。
理玖って、思ってた以上に無口だな。
会話が途切れちゃうとか、今まで私の回りに居なかったタイプだし。