数年ぶりの再会が、校内での過ごし方のみ?
あ、あり得ない。少しくらい喜んでくれたって良いのに。
「一つ、言い忘れた」
「……?」
「お前のことは、担任の桜御ヶ原先生に頼んである。何かあったら相談しなさい。私は仕事で忙しい。それだけだ」
呆然とする私の背中を、桜御先生が、軽く叩いた。
「何をボーッとしてる。行くぞ」
私が部屋を出ると同時に、女の人の声が聞こえた。
「理事長、お茶が冷めているのでわ?入れかえましょうか?」
「頼む」
あれが理事長。
あれが、私のお爺ちゃん――。
昔の思い出などほとんどないが、久しぶりの再会がこんな形で終わるとは。
理想と現実のギャップってやつかな。
扉の前に佇んだままの私の背中を、再び先生が叩いた。