「それじゃあ、後は寮に行くなり校内まわるなり、それぞれやってくれ。っと、中嶋はいるか?中嶋美夜の方」
「あっ、はい。俺です」
「ちょっと一緒に来てくれ」
えっ、何で私だけ?茗は?
チラリと茗に目をやると、早く行けと言わんばかりに、小さく手を振った。
……は、薄情もの!あんな怪しげな先生と二人にさせる気!?
仕方なく、先生と教室を出ようとした時、一人の男子が先生を呼んだ。
「桜御先生。ちょっと良いっすか?」
「桜御ヶ原だが。何か質問でも」
「質問じゃねえけど、ズボンのチャック開いてますよ。ほかはマジきまってんのにね」
「……」
教室に響いた割れんばかりの笑い声に、思わず先生が可愛そうになった。
しかし、その同情も束の間――。