「私と二人じゃなくて良いから」
「どういうこと?」
「隣の彼も一緒に。私も友達も誘うので」
「理玖が一緒に?」
「はいっ!」
なぜだろう、朝野さんの声が一際大きくなった気がした。
「理玖、ああ言ってるけど、どうする?」
「知らない奴と遊びに行くとか、俺そういうの面倒」
予想通りの返事に、やっぱりなと思いつつも、心のどこかに安心した気持ちもあった。
だって、そんなのダブルデートになりかねないし、朝野さんの友達が、もしも理玖の事好きになっちゃったりしたら困るもん……。
「朝野さん、悪いけどそういう事だから」
「それって、……知ってる人なら良いって事ですか?」
朝野さんの呟きに、私と理玖は歩きだそうとした足を今一度止めた。
「三輪 晴香(ミワ ハルカ)。私の友達です、樋山君、知ってますよね?」
誰だろう。初めて聞く名前だった。
「……」
「理玖?その子と知り合いなのか?」