「ああ!お前が女だって……」
「う、うわわわわあ――!!」
思わず声を上げてしまった。
「悪ぃ、悪ぃ。つい」
「つい!?そんなもんで解決する話じゃないんですから。先輩が誰にも言わないって言うから、彼女のふりしたんですからね!」
「分かってるっての。約束通り誰にも言ってねえよ。けど、頭にはインプットされてるし、忘れるとは言ってねえしなあ」
ム、ムカツク。
あのデートの日、この先輩をちょっとだけ、良い人に思ったなんて――。
「もう良いです。とにかく、誰にも言わないで下さいね」
「はいはいっと。んじゃあ、まあ片づけ頑張れよ」
「言われなくても分かってます。よいしょっと……」