「ああ、これ、ネクタイだってさ。文化祭メインの奴はこれ着けるらしいぜ」

「服とか普通にここの制服で良いんだ?」

「そうらしいな。こっちはあくまでも、校内の恋人ってのが売りみたいだから。ほら、ネクタイ着けてみろよ」

「えー、面倒だよ。それに、ネクタイくらいならイメージも変わんないだろ」

「いーじゃねえかよ、早く」


強引に押し付けられ、ネクタイを受け取った私は、それを着けてみた。


「これで良いだろ」


すると、なぜが吹き出しかけた恭平が私の首元に手をやった。


「良い感じ。良い感じ。襟元がおれてるけどな。そういうぬけてる所、母性本能くすぐるかもよ?」


恭平てば、もしかして私が考えてる事、分かってた?


「どうした?」

「ん……。ううん。何でもない、ありがとな!」

「おう!」


楽しげに笑う恭平の笑顔が、キラキラと輝いているように見えた。