「ふーん。173だけど?」
「私…じゃなくて、俺は159」
「聞いてないっての。そんなに身長気になるなら、牛乳飲めよ。大きくなんねえぞ。ついでに、その胸の為にも……」
耳打ちした茗の脇腹をギュッと捻った。
「痛って。何すんだよ、本当のことだろ!」
「煩いなあ。背は十分伸びてるもん」
スクールバックをかかげ、頭上を見上げた。
茗の身長が173。あの人は、もう少し高かったかな……。
「鞄なんか持ち上げて、何やってんだよ?」
「べ、別にっ!ほら、行こうぜ。遅刻する」
学校に着くまでの間、私は、呪文でも唱えるかの様に、俺・俺・俺、と、呟き続けた。