「俊、今日は一人じゃなかったんだ」
「ああ。紹介しとかなきゃな。コイツ、今、俺が付き合ってる子」
「は、はじめましてっ!中嶋美夜です!」
「バーカ。お前、すぐ緊張すんのな。まあ、そういう所も可愛いけど。それより、美夜、彼女が前に話した俺の元カノで伊吹亜子(イブキアコ)」
「今日はお邪魔しちゃってすみません」
「何、言ってんだよ。今日はデートだったろ。お前が謝る必要ねえよ。それに、前から亜子の事知りたがってたじゃねえか」
「まあ、そうだけど……」
ここは話を合わせなきゃね。私は、コクコクと頷いた。
「美夜の奴、よく亜子に嫉妬すんだよ。何かにつけて、前の彼女が良かったんでしょーっとかって。だから良い機会だと思って一緒に連れて来たわけ」
「そう、俊の……、彼女」
ポツリと呟いた亜子さんの顔から笑みが消えた気がしたのは気のせいだろうか。