「黙り込んでどうかしたか?」
「いえ、何でも。って、いうか、何か、こうして話してたら、先輩って、私が思ってたのと随分違イメージ違いますね」
「惚れたか?」
「まさか!!ちょっと見直したらこれなんですから。理玖の事、ちゃんと考えてやってるな、ってそれだけです」
「そりゃ、まあ、アイツの事は何だかんだで見てきてるからな。これでも、一応、頼れる兄貴のつもりだけど?」
吹きだした私の頬っぺたを軽くつねった先輩が、右手を繋ぎ歩きはじめた。
今はまだ、理玖の気持ちが、どこを向いてるか私には分からないけど、いつか、本当に、理玖の特別な存在になれると良いな。
……出来れば、その時は、一人の女の子として。