「それにしても可愛くねーデザインだな。誰だよ、こんなの考えたやつ」


フニャッとしたぬいぐるみを無意味に弄ぶ先輩の姿がとても切なく見える。


「先輩っ!」

「何?もしかして、お前、これ、気に入ったとか?」

「違います。そうじゃなくて、先輩は、大崎さんの事、恨んでないんですか?」


隣のカップルが、私達の方を見て、何やら囁いている事に気づいた。


「す、すみません。つい、声、大きくなっちゃって」

「いや、良いけど…」


――と、先輩はUFOキャッチャーのガラスケースに並べられたぬいぐるみに過去を想い出す様な、遠い眼差しをおくった。