「早速で悪いんだけど、これに着替えて来てくれないかな?」

「何ですか?これ」

「服とウィッグ。さすがに今の格好じゃ、デートって感じにならないしね」

「でも、私、お金……」

「良いって。それは、俺からのお礼って感じで受け取っといて。買ってきたのは俊だけどね。何せ、俺は雰囲気とか分かんないから」

「だけど、高いんじゃ」

「セール品だっての、バーカ」


と、俊先輩が口を挟んだ瞬間、大崎さんのげんこつが舞い落ちた。


「っ痛ー!何するんすか」

「ちゃんとしたの買って来いって言ったのに、勝手にセールに走ったのはどこのどいつだよ」

「良いじゃないっすか。あれが似合うと思ったんだし。洗面所はそこだから」

「お前なー。人様の家来て、勝手に案内するか?」