「デ、デートって!??先輩と!!?」
「そう。勿論女の姿で。そうすりゃ、他の奴らには黙っててやるよ。俺はお前を男だと思ってたってな」
それだけで、黙っててもらえるわけ?
そりゃあ、願ってもない話だけど、何か裏があるような。
「デートって……、どんな?」
「別に?ただ普通に歩いて飯食って終わり」
「キ…キスとかは、ないですよね!後、変な所に連れ込むとか!!」
「あるわけねけよ。そんなに飢えてねえっての」
あー、そうですか!!女は選り取りみどりですもんね!!
「で、どうする?一日デートで俺の口を封じるか、それもやだってんなら、まあ速攻他校行き決定。みたいな?」
出来れば関わりたくないんだけどな。
けど、その一日耐え抜けば――
「分かりました。一日だけなら……」
頷きと小さな返事を確認すると、先輩は、"じゃあ後日"と、だけ言葉を返して行ってしまった。
肩の荷が軽くなったはずなのに、なぜか妙に気が重い。